SCHDとVYMは重複していると思っていた。調べたら全然違った

高配当ファンド

私のNISA口座には、長らく楽天SCHDと楽天VYMが両方入っていました。どちらも米国の高配当株ファンドです。

「これ、中身が重複していないだろうか」という疑問がずっとありました。結論から言うと、私は積立をSCHDに集約しました。ただ、その判断の根拠として自分が信じていた理由は、後から調べたらほとんど間違っていました。

まず、私は自分の保有すら正確に把握していなかった

この記事を書くにあたって最初につまずいたのが、「楽天VYM」と呼んでいたものが実は2本あったことです。

ファンド名分配設定日私の保有
楽天・米国高配当株式インデックス・ファンドなし(無分配)2018年1月10日52,858口(積立なし)
楽天・高配当株式・米国VYMファンド(四半期決算型)年4回2025年3月5日22,956口(月1万円を積立)

名前が似ているうえ、どちらも「楽天VYM」と通称されます。私が月1万円を積み立てていたのは下の四半期決算型で、上の無分配型は過去に買った分をそのまま持っているだけでした。保有口数の推移を見て初めて気づきました。

この2本、分配方針が正反対です。無分配型も投資先企業からの配当収入自体はファンドに入っていますが、それを投資家に現金で支払わず、ファンド内で再投資します。配当を現金として受け取ることを目的とするなら、選ぶべきは四半期決算型です。同じ「楽天VYM」でも別物として扱う必要があります。

SCHDとVYMは重複しているのか

本題です。私は「どちらも米国の大型高配当株を持つのだから、中身はかなり重なっているはず」と思い込んでいました。だから「重複しているなら片方でいい」という理屈で集約を決めたのです。

ところが、両ETFの公式サイトで上位10銘柄を照合したら、想定と違いました。

順位SCHD(2026年8月6日)VYM(2026年6月30日)
1アボット・ラボラトリーズ 4.74%ブロードコム 7.3%
2アムジェン 4.58%JPモルガン・チェース 3.4%
3メルク 4.28%ジョンソン・エンド・ジョンソン 2.5%
4ホーム・デポ 4.27%エクソンモービル 2.4%
5コカ・コーラ 4.22%キャタピラー 2.0%
6ユナイテッドヘルス 4.10%シスコシステムズ 1.9%
7プロクター・アンド・ギャンブル 4.01%アッヴィ 1.8%
8ベライゾン 3.86%バンク・オブ・アメリカ 1.6%
9シェブロン 3.82%ユナイテッドヘルス 1.6%
10ペプシコ 3.72%ホーム・デポ 1.5%

出典:Schwab Asset Management公式、Vanguard公式ファクトシート

上位10銘柄同士で共通していたのは、ユナイテッドヘルスとホーム・デポの2銘柄だけでした。しかもVYMで最大の保有であるブロードコム(7.3%)は、SCHDには組み入れられていません。

ただし、これはあくまで上位10銘柄同士を比べた結果です。VYMの11位以下にはプロクター・アンド・ギャンブル、メルク、コカ・コーラ、シェブロンなど、SCHDの上位銘柄が並んでいます。ETFの重複度を分析するツールで見ると、2026年7月時点で共通銘柄は76、ウェイトベースの重複は約19%という数字も出ています。

つまり「まったく重なっていない」わけではありません。ただ、私が漠然と思っていた「ほとんど同じ中身」とはかけ離れていました。ウェイトの置き方がここまで違うとは想像していなかった、というのが正直なところです。

セクター構成はもっと違った

業種構成を見ると、違いはさらに明確でした。

 SCHDVYM
1位ヘルスケア 20.7%金融 20.6%
2位生活必需品 20.4%テクノロジー 14.6%
3位エネルギー 14.1%資本財 14.4%
4位資本財 11.6%ヘルスケア 12.4%
5位金融 10.1%生活必需品 8.5%

出典:Schwab公式・Vanguard公式(いずれも2026年6月30日現在)。分類基準が異なるため厳密な比較ではありません

SCHDはヘルスケアと生活必需品が各20%で二枚看板、金融は10%程度。対してVYMは金融が20.6%で最大です。

私は「SCHDは金融が多い」となんとなく思っていたのですが、これも間違いでした。実際にはディフェンシブ寄りのセクターが上位に来ています。

選定基準も誤解していた

SCHDについて、私はずっと「連続増配銘柄を選ぶファンド」だと理解していました。これも正確ではありませんでした。

参照指数であるダウ・ジョーンズ米国配当100の選定基準は、まず「10年以上連続で配当を支払っている」ことが足切り条件です。連続増配ではなく、連続配当です。減配していても配当を出し続けていれば条件を満たします。

そのうえで、キャッシュフロー対総負債比率、ROE、配当利回り、5年配当成長率という4つの指標を合成したスコアで上位100銘柄を選びます。増配率はこの4指標のうちの1つにすぎません。

一方VYMは、FTSEハイディビデンド・イールド・インデックスに連動し、今後12か月の予想配当利回りが高い銘柄を時価総額加重で広く持ちます。銘柄数は約600(2026年6月末で605銘柄)。REITの除外など一定のルールはありますが、SCHDのような財務指標による品質スクリーニングは行いません。

「質で絞るSCHD」対「量で広げるVYM」という対比は、この点では正しかったと思います。

3つのAIに聞いてみた

集約を決める前、私はいつものようにClaude・ChatGPT・Geminiの3つに同じ質問をぶつけていました。「NISA成長投資枠であと3万円積立を増やすなら何を買うべきか」という質問です。

Claudeの回答は明快でした。「SCHDとVYMは構成銘柄がかなり重複しており、月1万円のVYMを加えることで分散効果はほぼない。管理対象が増えるだけなので、VYMを廃止してSCHDに集約すべき」という趣旨です。

Geminiは少し違う角度から答えました。「その1万円がバックアップとして精神的な安心感を生んでいる。数字上の正解と続けやすさは別問題で、米国市場全体に網を張っているという安心感を重視するなら無理に削る必要はない」というものです。

ChatGPTを含めた3つとも、「追加の3万円はSCHDに入れるべき」という点では一致していました。意見が割れたのは「VYMを残すか消すか」の一点だけ。私はGeminiの言う心理的な安心感を月1万円で買う必要はないと考え、集約を選びました。

ところが、AIも同じ思い込みをしていた

ここが今回いちばん考えさせられた部分です。

3つのAIは「VYMを残すか消すか」で意見を戦わせていましたが、そのどれもが「SCHDとVYMは重複している」という前提を疑っていませんでした。Claudeは「かなり重複しており」と断定し、Geminiは重複を否定せずに心理的な話へ議論を移し、ChatGPTも同じ枠組みの中で答えていました。

そして私自身も、その前提を検証しないまま議論に乗っていました。「どちらも米国の高配当株ファンドなのだから重なっているに決まっている」という直感が、3者ともに共有されていたわけです。

実際に上位10銘柄を照合したのは、この記事を書くために公開前のファクトチェックをした時でした。SchwabとVanguardの公式サイトを開いて初めて、上位の顔ぶれもウェイトの置き方も相当に違うと分かったのです。

複数のAIに聞けば視点が増えるというのが、この連載で私が取ってきた方法です。今回それは半分しか機能しませんでした。結論の是非については意見が割れて有益でしたが、前提そのものが間違っている場合、複数に聞いても同じ誤りが返ってくる。学習しているデータが重なっている以上、当然といえば当然です。

AIどうしを議論させるより、一次情報を1回開く方が早い。今回の教訓はそこに尽きます。

増配率の比較は、実は成立していなかった

私が集約を決めた最大の根拠は「増配率の差」でした。SCHDの3年増配率が年7%前後、VYMが2%前後という数字を見て、この差は大きいと判断したのです。

ところが、この記事のために出典を確認しようとして、2つの問題にぶつかりました。

ひとつは、数値が情報源によって大きく振れることです。SCHDの3年増配率は、あるサイトでは年4.43%、別のサイトでは7.12%。VYMに至っては、マイナス0.93%としているところもあれば、プラス3.38%としているところもありました。基準日や算出方法(暦年か直近12か月か、ETFの分配金か指数の配当か)が違えば、答えは変わります。

もうひとつ、これがより本質的な問題でした。これらの数字はすべて、本家である米国上場ETFのものです。日本の投資信託である楽天SCHDや楽天VYMの分配実績ではありません。

そして私が積み立てていた楽天・高配当株式・米国VYMファンドは2025年3月設定。3年の実績など存在しません。もう1本の無分配型に至っては、そもそも分配金を出したことがありません。

つまり私は、日本の投信を比較しているつもりで、実際には米国ETFの、しかも出典の怪しい数字を根拠にしていたことになります。

それでも集約の判断は変えない

ここまで自分の根拠が崩れると、「では集約は間違いだったのか」という話になります。考え直した結果、判断そのものは変えないことにしました。ただし理由は入れ替わりました。

第一に、コストです。楽天SCHDの信託報酬は年0.1238%。楽天VYM系は約0.172%です。同じ米国高配当というカテゴリなら、低い方を厚くする理由はあります。

第二に、名前の紛らわしさの解消です。「楽天VYM」と通称される2本を同時に持っていたことが、自分の保有すら把握できなくなった原因でした。積立を1本止めるだけでも、意識すべきファンドは減ります。

第三に、管理のシンプルさです。名前が似た2本を持っていたせいで、自分がどちらを積み立てているのかすら把握できていませんでした。これは実害です。ファンドの本数を減らすこと自体に価値があると実感しました。

逆に、集約の理由として使えなくなったのが「重複しているから」です。重複はあるものの、私が思っていたほど大きくはありませんでした。上位銘柄のウェイトもセクター構成も相当に違います。両方持つことにはそれなりの分散効果があったはずで、それを手放したことは、コストと管理のシンプルさとのトレードオフとして受け入れる、という整理になります。

AIとの議論も、結論としては「SCHDに集約」で正しかったことになります。ただし理由は3つとも外れていた。答えが合っていても、そこに至る道筋が間違っていれば、次の判断で同じ間違いを繰り返します。今回それを確認できたのは収穫でした。

変更後の積立

ファンド変更前変更後
楽天SCHD4万円7万円
楽天VYM(四半期決算型)1万円0円(既存保有は継続)
楽天日本高配当株4万円4万円
Tracers日経高配当501万円1万円

既存の保有分は売却していません。売却すれば、翌年以降にその商品の簿価(取得価額)分のNISA非課税保有限度額を再利用できますが、今回は積立先を変更したいだけで、保有しているVYM自体に不満があるわけではありません。売る理由がないので、そのまま残しています。

集中しすぎではないか

米国高配当への集中度が上がっている点は、正直なところ気になっています。

ただ、後の回で詳しく書きますが、私自身が置いた前提(利回り・増配率・積立額・取り崩し方など)で35年間のシミュレーションを回した限りでは、配分の違いによる最終資産の差は誤差の範囲でした。前提が変われば結果も変わりますが、少なくとも私のケースでは、続けやすくシンプルな形を選ぶ方が長続きすると判断しています。

今回いちばんの収穫は、集約の是非そのものより「自分が何を持っているか正確に把握していなかった」と気づけたことでした。似た名前のファンドを複数持つと、こういうことが起きます。

そして、AIに聞く前に自分の保有状況と一次情報を確認しておくべきだった、というのがもうひとつの反省です。前提が曖昧なまま質問すれば、返ってくる答えも曖昧な前提の上に立ちます。

補足:買う前に確認したいこと

初心者の方向けに、この2本に関する注意点を書いておきます。

「楽天VYM」という通称には2本のファンドがあります。無分配型と四半期決算型で分配方針が正反対なので、購入前に正式名称を必ず確認してください。配当を受け取りたいなら四半期決算型です。

両ファンドとも為替ヘッジがありません。本家が増配しても、円高が進めば日本の投信の分配金は減ることがあります。実際、楽天SCHDの分配金は2025年2月の85円から5月には70円へ減少しました。円高などの影響もあったと考えられます。

米国株の配当には米国側で源泉徴収がかかります。これはNISA口座でもゼロにはなりません。「NISAだから完全非課税」ではない点は押さえておいてください。

次回は少し上級者向けの話です。「益出し」という手法でYOC(取得価額利回り)をどう考えるべきか、という論点を扱います。

※本記事のデータは2026年6月末〜8月上旬時点の各社公式資料によります。構成銘柄・セクター比率はリバランスや株価変動で変わります。投資判断はご自身の責任でお願いします。

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